2012年2月19日日曜日

0219 『スペイン一家~』


「まじで良かったので、早く見てみて」とせかされてはいたものの、とにかく怖そうなので二の足を踏んでいたのですが、僕もだいたいこの手のファンタなジャンル・ムービーの「当たったときの衝撃の凄さ」は分かっているので、体調を整え心に余裕を持って望みました。スペインでの原題は『SECUESTRADOS』。日本公開にあたっては分かりやすく『スペイン一家~』。

ストーリー自体はもちろん極悪(最悪)ながらその極悪に対して作り手の「こういう風にやりたい(見せたい)」という確かなスタンスと手間で"映画"として見事にまとめ上げている恐ろしくも知恵と気概を感じずにはいられないその内容は、「どうなってるんだ!?これは?」と目を奪われる冒頭のシーンから圧巻(釘付け)。スプリット・スクリーン(分割画面)を多用した同時進行の機微の重なり、そして最後、スプリットの融合によるカタルシスで気持ち上げといて、ズバーんと急降下で落とすという絶対に救われない、いや救いようともしない王道っぷりも実に見事の85分!誉め言葉の意味も合わせ「恐るべしスペイン」です。映画ですからいいんです、これで!
場面場面のカメラワークの素晴らしさについて熱く語る、山口雄大さんのオーディオ・コメンタリーも、カメラの長回しに関しての目からうろこな勉強になるテクが聞けてとても参考になりました。また、この作品、劇場公開時は映倫(自主規制)を通してなかったらしいです。まあ、いくら世の映画館のほぼ全てが映倫を通った作品のみを上映する仕組みとはいえ、最初っから、例えば東京一館でしか上映しないと決めていれば映倫もなにも関係ないですからね。

↓某シーンの段取り(怖くないです)


↓メイキング(これも怖くないです)

完全に限られた間口の狭い映画で、好きな人だけ見ればいいの範囲は超える由もないのですが、このクールさは手にすることさえ憚れるパッケージのハードルをそこはがんばって乗り越え、是非間違ってミシェル・ゴンドリーなどが好きなターゲットになっていない人などが見ても「見たいのと違ったけど、面白かった!」と言える(たぶん)相通じるクオリティには確実になっています。

↓ザ・スプリット・スクリーンな昨年のLiving Sisters「How Are You Doing?」のPV

監督はもちろんミシェル・ゴンドリー。昨年の『グリーンホーネット』でも分割していたり、大昔(例えばチボ・マット「Sugar Water」)から画面を分割しています。