2012年1月31日火曜日

0131 A BETTER LIFE

気付けばあと数年で、『アバウト・ア・ボーイ』でのヒュー・グラントの年齢になってしまうという事実にはびっくりなんですが、その『アバウト・ア・ボーイ』を監督したワイツ兄弟の弟、クリス・ワイツの誰も話題にしていない最新作『A Better Life(明日を継ぐために)』を見てみました。
最近兄のポールの方は見てないので不確かですが「ミート・ザ・ペアレンツ3」はいいとしても「ダレン・シャン」の監督をやったり、そしてこのクリス・ワイツの方は「ライラ」とか「トワイラト」。この兄弟、製作ではいいやつに関わっているのに最近監督業はとにかく大味な印象でしたが、ここにきてクリス・ワイツ、やってくれました。この『A Better Life(明日を継ぐために)』、超地味です。構図は『アバウト・ア・ボーイ』よろしくな男の大人と子ども、しかし今回の設定は親子です。
メキシコから不法に国境を越えロサンゼルスで暮らす庭師のカルロス(↑)は息子と2人暮らし(奥さんは出て行ったみたいです)。苦役列車よろしくな日雇いの庭師の仕事を毎日していく中で、「トラックさえあれば..」とアメリカン・ドリームを夢を見ます。カルロスはかなり背の高い椰子の木にも軽々とロープを自在に操り登っていけるほどの技術の持ち主の庭師のプロなので、トラックがあれば庭師の仕事の一国一城の主になれ、顧客や仕事も安定し、メキシコから越えてアメリカへきたことも報われます。そこで、妹からお金を工面してもらい、見事トラックを購入します。そしてこのトラックを買った後からこの"アバウト・ア・親子"の物語りは動き出します。

内容はかなりヒューマンで、切り口としては社会のシステムを描いているのですが、その手腕は実に分かりやすく淡々と。しかし、これがいいんです。超地味で一見軽いんですが、"アバウト・ア・親子"ならではに味があるんです。極端に言えば、アメリカへと渡らざるを得ないというのではなくて、渡ることしか知らないメキシコ人、そして表向きは「入ってきちゃダメ」だけどそのメキシコ人たちと共存しているアメリカ社会。そのあたりをメキシコ側の視点でもなく、アメリカ側の視点でもなく、ただ現実としてのこの問題の基本の部分を優しく見せてくれました。クリス・ワイツにはほんとこういう本来得意であろうこの"人間"路線でどんどん作っていって欲しいです。